日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜ?
執筆者: staff
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2020年03月24日(火)発行のNewsweek Web版に「日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?」というタイトルでニュージャージー州在住の「冷泉彰彦(れいぜんあきひこ)氏」が、日本におけるコロナウィルスでの死亡率の低さを3つのフェーズから知見し、今後の国民の留意点を提言しています。とても分かりやすいコラムです。
現在まで大規模な感染が発生している国や地域の死亡率と比較すると、日本の低さは明らかであり、人口当たりの死亡率が日本はなぜ低いのか。
▼イタリア(人口6055万人、死亡者6077人)人口10万人当たりの死亡者数10.03人
その要因について、冷泉氏は、次の3つの考察をしています。 <要因1> 近年は高齢者が「高齢者のみの世帯」で生活している率が高く、若い世代との接触を遮断するのが容易である。また、公衆衛生の概念が浸透しているとか、手洗いの習慣、マスク着用など生活様式の特徴もその理由になるかもしれないが、高齢者の命を奪う季節性のインフルエンザの場合は、アメリカで毎年1万5000人前後の死亡者を出している一方で、日本は3000から5000の死亡者数で推移しているので、社会の特徴だけでは説明できないだろう。 <要因2> 日本の場合は、集中治療室(ICU)のスペックが高いとか、院内感染回避のノウハウとリソースがあるとか、場合によっては高価な人工肺(ECMO)も使用できるなど、治療の環境が整っている。ただし、中国も含めてどの国のどの病院も可能であればECMOの投入はしているようで、顕著な医療崩壊が起きている国を除けば、日本だけが何十倍も恵まれているということはないはず。 <要因3> 封じ込め政策を「クラスター対策」に集中している日本の戦略が、今のところは当たっている。この戦略は、3月19日の専門者会議以降、関係者が徐々に説明を始めており、要するにSARSを制圧したのと同じ手法で、感染の連鎖を潰していく作戦である。 そして、同氏は「仮にこの3番目の理由が相当程度にあたっているにしても、専門家委員会が声高にそれを誇るのではなく、警戒を促しているというのは正しい姿勢でしょう。」と記事を結んでいます。 以上のそれぞれの要因が相関して、日本での致死率低下につながっているのかもしれません。いずれにしても、コロナウィルスの世界的なパンデミックが少しでも早く終息を迎えることを心から祈るばかりです。
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