所長のブログ(89)
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所長推薦の図書のご案内(19)
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執筆者: staff
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日本版のサブタイトルに「本当はこんなに面白い」と表している。 原著はチャールズ・ウイーランCharles Wheelanで、ダートマス大学の公共政策教授で雑誌エコノミスト記者としても分かりやすい事例で経済学を著述している。 本書は13章の構成でそれぞれ、キュートなタイトルが付してある。 例えば第一章市場の力では「パリを喰わせているのは誰」。第六章生産性と人的資本(ドラッカーの好きそうなタイトルかな?)「なぜビル・ゲイツは大金持ちなのか」。第七章金融市場では「手っ取り早く金持ちになる方法―とダイエットの経済学」。エピローグでは「2050年の生活―七つの問題」ここでは、本書の問題意識が垣間見れる、「ジヨンFケネデイーは人類を月に送ると宣言した時物理法則を変えたわけではなく、単に実現には適切な科学を必要とするような目標を設定しただけだと」し、経済学も同様でるとしている。七つの問題のうちの一つ生産性について「パン一斤の値段は労働何時間何分の費用になっているだろう?」と平易に質問している。 |
執筆者: staff
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今回はジェイコブ・ソールの「帳簿の世界史TheReckoning」をご紹介します。
彼は、1968年米国南カリフォルニア大学に在籍し、会計学史の立場から近代政治や近代国家の起源の研究で籍をなしている。端緒はルイ14世のコルベール財務総監が近代国家建設にさいして国家財政と会計の面から改革を行ったという忠実に始まる。
テーマは【未来の資産価値を現在に置き換える帳簿が生まれるとき、世界が変わった】であり、
アダム・スミス、カール・マルクス、マックス・ウェーバー等が主張した「帳簿の力」とは何なのかを記述している。
結論として「その歴史の裏に帳簿を駆使する時々の会計人」がいたとしている。
かなり専門性が高い書物だが、会計の世界に生きる我々だけでなく、事業者の決算についての本源的な知見を助けるために有益であり、ご紹介いたします。
(カバー写真は、マリヌス・レイメルスワーレ「二人の収税人」)
内容は終章を含め14章から構成されている、第一章第二章は帳簿の発生と当時のイタリア商人が述してあり、以降の各章は随時読破されていいと思います。
終章は「経済破綻は世界の金融システムに組み込まれている」とかなりエキセントリックなタイトルですが、あわせて政府・企業はアカウンタビリティ(会計責任)を果たすべきという会計観の前提を主張している。 |
執筆者: staff
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伊集院氏の週刊誌連載「それがどうした男の流儀」より箴言を紹介します。
同氏の父君から教わったことです。「65歳を過ぎて何かをしたかったら、それまでの苦労辛さの何倍もの苦節の時間と対峙すべきです。ひとつのことを成し遂げた自分なぜ今更なぜそんな苦労をと考えではダメです。最後の苦労をするのです。いや最後まで大変なのが仕事です。これまでの勲章を捨ててしまうのです。それは過去のことであって、今日、明日からの日々の仕事や、生きがいとは全く別のものです。ほんの一年か、一年半、苦労してみるのです。もちろん、若い人に叱られることもあるでしょうが、その年になったら年齢など忘れてしまいなさい。きっと何かを得られます。」新しい考え方・新しい自分・新しい仕事と取り組むことは、そう易々とはできない、それでもやるしかないという同氏の生き様を感じられる一文でした。
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執筆者: staff
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11月30日付け朝日新聞朝刊に掲載した「ことばの広場」から転載しました。 ↓ ↓ ↓ NHKの大河ドラマ「真田丸」が佳境です。大阪市天王寺区に今年建てられた「真田丸顕彰碑」には、真田信繁(幸村)が大坂の陣の際に徳川方の攻撃に備えて築いた出城の真田丸が半円状に描かれています。 なのになぜ「丸」というのでしょうか? 公益財団法人日本城郭協会理事の加藤理文さんにうかがいました。 城内で区画されたひとつの区域は「くるわ」と呼ばれていました。くるわとは一定の地域をその周囲と区別するために設けた囲いのことです。中世には「曲輪」、近世になり「郭」とも書かれました。くるわとは丸いものだという考えから、近世の城では「丸」があてられるようになったようです。 これが城内の建造物にも使われます。最も主要なものなら「本丸」、西の方にあれば「西の丸」。城内から外に向けて造られると「出丸」。つまり、丸いから丸というのではないのです。真田が大坂城の南に突き出すように築いた出丸なので「真田(出)丸」となったと思われるとのことでした。 ところで、ドラマの作者・三谷幸喜さんは本紙連載のエッセーで「『真田丸』は、信繁が築いた砦(とりで)の名前だが、真田一族を、戦国という海を渡る船に例えてもいる」と書いています。
現在、桜井所長は池波正太郎「真田太平記」全十三巻を読破中であります。 雑感、大変なボリュームに年内完全読破予定です。 |
執筆者: staff
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久々推薦図書をアップします。従前連載で掲載したドラッカーの関連図書です。リーダーシップについて慧眼でした。
個性的な大学の創設に携わり、大学改革を実践してきた教育者として。また日本の企業経営に警鐘を鳴らし、わが国初のシンクタンク、ベンチャービジネス支援を主導した経済学者として、野田一夫氏の功績は大きい。ピーター・ドラッカーの学説の、日本への最初の紹介者でもある野田氏が語る「リーダーの条件」とは? ドラッカーの魅力は「多くの経営者と接しながら蓄積した経験知」航空機製造のエンジニアだった父に憧れ、将来は大学で航空力学を学びたいと思っていた野田氏。ところが戦後、占領政策によって夢が絶たれ、理系から文系に転じている。経営学を専攻するものの、古色蒼然とした学問に嫌気が差していたとき、アメリカから帰国した先輩が1冊の本をお土産にくれた。 『The Practice of Management』、著者はPeter Ferdinand Drucker。 一読し、「これこそ日本の経営者が知るべきものだ」と感じた野田氏は、ドラッカーに宛てた手紙を書き、翻訳の許可を得て『現代の経営』(自由国民社)の出版を実現させた。この本はドラッカーが日本に浸透するきっかけとなり、「ピーター」「カズオ」とファーストネームで呼び合う親交が続いたという。 ドラッカーの魅力は「多くの経営者と接しながら蓄積した経験知」だと野田氏は言う。二人のエピソードのなかから、経営者のあるべき姿として語られるのが、鉄鋼王として歴史に名を残すアンドリュー・カールギーの墓碑。そこには時代を超えても変わらない、リーダーの本質が刻まれているという。また会社の「組織図」を題材に、経営者として忘れてはいけない視点に落とし込むなど、「ピーターとカズオ」のエピソードは興味深い。
【ダイヤモンド・オンラインより抜粋】
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執筆者: staff
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分類なしに兼好法師を気取り「つれずれ」なるままに私の図書記録を書き連ねてみました。 「日本の伝統の言葉辞典」 簡単なあいさつの素ネタとして便利でした。 「置かれた場所で咲きなさい」 渡辺和子 西洋思想の素となったキリスト教的幸福感 「ウルフ・オブ・ウオールストリート」Jベルフォート アメリカ証券業の寵児の激烈な自叙伝 「マンガでわかるケ゜ーム理論」Pポロダクション 経済学の経済人の行動理論 「努力論」幸田露伴 努力と成果の関係、人を信じることとは 「名妓の夜咄」岩下尚史 新橋芸者と日本文化のおとぎ話 「私はなぜ中国を捨てたのか」石平 中国の汚点文革と天安門事件を経験した文化人の独白 「後妻業」黒川博行 直木賞作家がタイムリーに著した問題作 「キャプテンの責務」Rフィリップ 09年ソマリア沖での海賊被害の記録 「ドラッカーと会計の話をしよう」林聡 経営の神様が語る利益の存在を一夜噺としている 「慶応医学部の闇」高須基仁 福沢塾長の目指した慶応医学と原実の階差 「国難に克つ」桜井良子 おなじみ典型的和美人の日本論 「マッキンゼー」Dマクドナルト 世界の経済政治軍事を動かす巨大コンサルティング 『会計学ススメ」山下壽文 私の敬愛する兄弟学徒の会計書概説 「大本営参謀は戦後何と戦ったのか」有馬哲夫 戦後復興に傾注した参謀たちの外史 「ケインズはこう言った」高橋伸彰 分配と協力を中心とした経済学巨人の日本処方箋 「砂の上の植物群」吉行淳之助 学生時代に溺愛した性問題 松本清張各種の古典的社会派文学 すべてにわたりにほんの経済成長期の社会問題を題材にした推理小説を社会派文学に進化させた秀逸作であった。 「落差」 「ゼロの焦点」 「鬼畜」 「小説帝銀事件」 「東京帝国大学」 「坂道の家」 「点と線」 「波の塔」 「砂の器」 「球形の荒野」 今年もよく本をとくに脈略なくよく読み連ねました。 大方が出張の友として持ち歩いたものでした。
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執筆者: staff
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執筆者: staff
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本日は戦後第三番目のブームのゴルフについて長い間バイブルとして読まれた本を二冊使用開始ます。いずれもアドレスとスイングについて珠玉の文書が読めます。
ベン・ホーガン『モダン・ゴルフ』 ホーガンはゴルフ界において球聖をボビー・ジョーンズとすると、ゴルフ技術を体系だてて追及しそれを世のゴルフアーに伝えた伝道師として著名である。 彼の代表的文献が『モダン・ゴルフ』であり、それはテクニックのレッスン書を超え、ゴルフに対する哲学的というか求道的なというか、生き方を教えられるように感じた。
ベン・ホーガンの素晴らしいフィニッシュ |
執筆者: staff
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前号でマネージメントの市場ポジショニングを述べました。 これは、すべての分野でトップを継続することは不可能であるが、特定分野でトップを確保することは可能であるという、戦う場所の特定であった。今回は、その場所でどのような商品をどのような流通チャネルに乗せて活動するかという、マネージメントの要諦のトライアングルを述べてみます。 ドラッカーはマネージメントの要素を1.市場2.商品3.流通チャネルに分けて論じている。広い意味での「市場戦略」といわれる分野です。(逆説的に、市場の伸び率以下の成長率だと存在感がなくなるので「最小限の市場地位(伸び率)が必要となる。その時の市場地位は、最大でなく最適を目指す必要がある。) ドラッカーは、メガカンパニーのGEの顧問に就いた時、『強い分野を更に強く』する事を目的に「選択と集中を断行」しました。 では、『強み』をどのように考えていたのでしょう。それは、顧客からみた魅力であり、競争企業からの「差別化」政策であった。具体的には、「他社にない機能・他社より優れた品質・どこよりも安い価格・豊富な品ぞろえ・望まれるアフターサービス・心地よい接客・素早い納品とオーダーへの柔軟性」等々。但し、この列挙した具体案のすべてを実現することは、コストパフーマンス上困難であり、幾つかのことで秀でたものを実施すべきである。 商品についてドラッカーは「主力商品」と「補助商品」に区分し11項目を列挙しトップのマネージメントを下記のように説明を加えています。 1.今日の主力商品 トップの仕事 成長の限界を検討する 2.明日の主力商品 同 次期の主力商品としての位置づけ 3.生産的特殊商品 同 特定分野での差別化の拡大 4.開発商品 同 成果の発現の見通し 5.失敗商品 同 至急の撤退と埋没原価の見切り 6.昨日の特殊商品 同 売上の大きさの幻惑を捨てる 7.手直し商品 同 機能的欠落の発見と投資の判断 8.仮の特殊商品 同 主力商品へのシフトの可否判定 9.非生産的特殊所得品 同 顧客の評価を受け止め至急撤退 10.独善的商品 同 最悪の商品 11.睡眠商品 同 主力商品になりえるか、経営資源 を十分投入可能か 今回で「マネージメント」の概略を述べ終わった。いかがでしたか、会社の経営にある瑕疵を発見できましたでしょうか? |
執筆者: staff
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前号までの情報・知識・成果のドラッカー流の考えを、企業にあてはめるとき、戦略という経営分野が出てきます。 企業は、社会的な組織(一分野と読みかえるとわかりやすい)なので社会に貢献しなければ不要なものとなります。 この貢献という考えは、二種に区分するとわかりやすいです。 一番目の社会貢献(社会で必要とされるもの)は、企業にのみ与えられた期待である、利益を上げることです。 企業の生み出す利益のみが国家・地方公共団体そして一番大事な社会の構成員の人々を支えることができます。 現在のギリシャ等の債務超過赤字国家は、本来ありえないものです。 二番目の貢献とは、顧客満足度を最大にすることに企業は目標を定めることです。 何でも売るのではなく、自社の望む利益を得たうえで他社より魅力的なむものを生産し販売する必要が、企業には課せられた使命です。 この二種の社会貢献と課せられた使命を果たす分野を探し出し、その仕組みを作ることが「経営戦略」の意味であり、社会から期待される企業の在り方です。 顧客満足度を最大にする手法を、「マーケティング」と「イノベーション」というキーワードで考えてみます。 経営方針は、経営理念を実現するための自社のポジショニングの明文化されたものです。 その立ち位置の決定要素が「どの市場でどのような商製品を提供するのか」です。この方針が戦略的経営に必須であります。 よく、戦国時代の武士の戦い方と近代国家の戦争とを比較しますが、戦国時代の争い方が、馬上から「我こそは○○国の××である。いざ戦わん・・」てな具合に国取りが始まります。 戦略はそのような個人の武術の多寡を中心にするのでなく、囲碁の世界と同様に大局から資源を投入する道具の組み合わせを中心に考えることが、戦略と言われます。 いかなる巨大企業でも市場のすべてを対象に魅力的商製品を提供し社会貢献することは不可能でしょう。 そこでは、市場を細分化(セグメント)し、その中のどのような分野でリーダーとなれるのかを考えます(集中すべき市場)。この考えの延長上に市場での地位の決定(ポジショニング)を前提とした市場戦略が完成です。 次回は、ポジショニングの取り方を記載します。乞うご期待です。
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